従業員の能力向上とビジネスチャンスの創出を目的に、7月に続き県外視察研修会第2弾を実施しました。今回は飛行機を利用して、工業会の会員企業で本社が北九州市八幡西区にある㈱安川電機の「ロボット村」を見学しました。この「ロボット村」ですが、敷地面積が約77,000㎡で、「本社棟」「厚生棟」「ロボット工場」「安川電機みらい館」「YASKAWAの森」で構成されています。創立100周年事業の一環として整備され、今年6月1日にオープンしました。本社には260人、事業所には1,300人の従業員が働いているとのことです。
北九州空港からエアポートバスに乗って、黒崎駅前にある会社に到着。到着後すぐに、会員企業の㈱ドーエイが用意していただいた幕の内弁当を、厚生棟カフェテリア横の会議室で食べましたが、弁当の美味しさもさることながら、広々としたゆっくりと寛げるカフェテリアの雰囲気に圧倒されました。
昼食後、松浦英典ロボット基幹技術部次長から歓迎の挨拶があり、引き続き㈱安川電機入間事業所総務グループ長で工業会副会長の石井秀治さんから、①会社100年の歴史(創業者安川敬一郎について)、②創業の精神(産業を興して国の恩に報ゆる)と事業変遷(モートルの安川→オートメーションの安川→メカトロニクスの安川→ロボットの安川)、③中期経営計画「Realize100」(Realize100とは①進化する事業遂行力・高収益体質の実現②グローカル経営の実現③新規事業の創出・コア事業化の実現。この計画を実現するための人材育成。「人事理念(Empower and Grow!~最高の自分に出会える場所YASKAWA~)に基づき、人材のグローカル化と人材活性化を促進」)、④創立100周年事業「ロボット村構想」について、DVDを見ながら約1時間にわたって説明していただきました。
伊東さんの案内により、初めに第1工場を見学しました。(工場内での写真撮影は一切禁止)この工場は世界で初めての「ロボットがロボットを作る工場」で、アーク溶接、スポット溶接、塗装、ハンドリングなど一般産業向け小型ロボットを製造し、生産能力は月1,000台との説明がありました。製造ラインは工程によって作業もまったく違うので、見ていて飽きることはなく、参加者一同食い入るように見学していました。不平不満も言わず、黙々とロボットが作業をしている姿が印象的でした。
次に見学したのが第2工場で、この工場は平成25年8月にリニューアルオープンしたクリーンロボット工場です。半導体、FPDパネル、薬品、食品、化粧品などの業界に向けたロボットを生産し、生産能力は月500台との説明がありました。また、太陽光発電用パワコンディショナなど独自の省エネ技術を活用し、二酸化炭素排出量を20%削減した工場でもあります。高い洗浄度が求められることから、クリーンルームへの人の入室数は極力抑えられ、第1工場とちがって、防塵服を着用した作業員が一生懸命作業をしている姿が印象的でした。
最後に見学したのが安川電機みらい館です。ものづくりの楽しさと凄さ、最新のロボット技術を発信する展示・体感・学習施設です。(写真参照)1階は安川電機の技術の“過去”“現在”“未来”を代表する製品が展示されていて、特に第34回入間万燈まつりに登場したソフトクリーム屋さん「やすかわくん」が健在だとわかり、懐かしさを感じました。
また、イノベーションステージでは、研究開発中の次世代ロボットを展示及び実演していました。ロボットの器用な動作に、皆さん目が釘付けになりました。
2階は安川電機のものづくりの凄さを体感できるスペースで、ロボットがミニロボットとミニカーを製作する過程を実演したり、ゲーム感覚でロボットと遊ぶことができました。
ロボット村の工場見学で感じたことは、ものづくりの楽しさと凄さ、人と共存するロボット市場を創造していく素晴らしさは勿論ですが、「ものづくりは人づくり」と言われるように、一人ひとりが働きやすい環境の中で、生き生きと働いている姿でした。このあたりにも、単なる技術者を育てるのではなく、技術に精通した紳士を育て、日本を支える人材を育成しようとされた創業者安川敬一郎の理念に通ずるものがあると感じました。ものづくりに対する社員一丸となったゆるぎない信念と情熱を肌で感じることができた、記録と記憶に残る工場見学となりました。
案内係の方の説明がわかりやすく、鉄鉱石から鉄の製品ができるまでの一連の流れをよく理解することができました。また、戦後の高度経済成長を支えた新日鉄㈱社長だった稲山嘉寛氏の“鉄は国家なり”と述べた言葉が、懐かしく思い出されました。
から、一般には公開されていません。
午前中の最後に小雨の中、ケーブルカーとスロープカーに乗って、皿倉山山頂へ行きましたが、霧のため山頂からは何も見えませんでした。晴れていれば、北九州一帯を一望することができたのですが・・。次回の宿題となりました。
安川電機の創業者安川敬一郎の次男松本健次郎の住宅兼迎賓館であった西日本工業倶楽部で洋食ミニコースの昼食をとった後、今回の研修会で最後の見学先となるTOTOミュージアムへ行きました。今年8月28日にオープンしたこのミュージアムは、創立100周年を記念して設立され、1階がショールーム、2階がTOTO創立100年の歴史を伝えるミュージアムからなっています。(3~4階は研修室など)オープンして日が浅いことと土曜日であったこともあってか、団体を含めて多くの見学者で賑わっていました。
この見学をもって今回の研修会は終了し、一路北九州空港へ向かいました。
空港に到着して驚いたことに、昨日のロボット工場の見学にあたって骨を折っていただいた松浦さんが、わざわざ見送りに来て頂きました。松浦さん、最後の最後まで本当にお世話になりました。併せて、今回の研修会にあたって㈱安川電機の石井さん、㈱ドーエイの北島さんはもとより、工場の案内など多大なるご尽力をいただきましたすべての社員の方々に、心から深く感謝申し上げます。